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最近のライブは、観客が舞台上の演奏者と一体になってパフォーマンスをする風潮だ。
たしかに盛り上がる。やってる人たちは楽しいだろう。

しかし、中には座って静かに音楽を聴きたい人もいるのではないか?
クラシック観客歴の長い私は特にそう感じる。

いつからそうなったのだろうか。
どっかの歌手が、一番前で座っていた人に対して、「座ってた。感じ悪いよねー」なんて口走ったそのころから、観客には舞台上のアーティストの思い通りにならなければならないという新しい義務が生じたと言っても過言ではないだろう。
この義務は誰が作ったのか?上記の件があったことからアーティストが作っている場合が多いだろう。しかし観客も集団意識が働いて、みんなで渡れば怖くない的な考えで同調した。自然と同調しないものを排除する雰囲気が作られるわけだ。上記の発言はそれを端的に表している。座っていることを、自分に同調しない人間と決め付けて非難する。その前にお金を払ってあなたの音楽を聴きに来ていることを全く忘れて。

この夏初めてヒップホップ系の演奏を観る機会があったが、あるフレーズのところで観客みんなが揃ってハンカチを回すことを知った。こういうパフォーマンスは何種類かあるらしい。友達や恋人と来てて、一緒に盛り上がれる人ならよいが、中には一人で来て静かに聴きたい人も要るはずである。いつもいつもパフォーマンスを強要されたくない。
そんなんだったら行くなという人もいるかと思う。ご尤もだ。

要するに、音楽を聴きたいだけでは見に行く資格はない、ということだ。ライブを見に行くからにはみんなと一緒に盛り上がろうという奇麗事の裏には、そうできない奴は来るな、ということである。ライブを見に行く目的まで規制されるのはいかがなものか。

もともとヒップホップって、歌唱よりもしゃべりのような歌い方で、うまくなくてもノリさえよければ成り立つ。盛り上がるだけならうまくなくても歌手になれる。この風潮がアーティストの質を落としているように思えてならない。しかし実際見に行ったときのあるユニットは、非常に高い演奏技術の持ち主であることが分かり、感心していたのだが、最近はただ聴いているだけを許さない風潮にあるのは非常に残念だ。まあこれがヒップホップに限ったことでもないだろうけど。

別のイベントに参加したときも、身振りの方法を説明して練習させてから演奏、という面倒くさいことをやっていた。まさに観客にパフォーマンスを強要する行為だ。あきれを通り越して怒りすら感じた。こうでなければならないという価値観は、あくまでも観客側がコントロールするものである。それをアーティスト側が介入するということは、よっぽど自分たちのパフォーマンスに不安があるからであろう。

ということで、11月でも京都ではいろいろイベントがあるが、参加は自粛させていただく。
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